ウワミズザクラ(コンゴウザクラ、ハハカ)

ウワミズザクラは日本全国に分布する桜で、普通の桜が散ってしまった4月下旬から5月上旬にかけて白い花を咲かせます。桜と言っても、小さな花が房状に付き、まるで白い試験管洗浄ブラシを思わせる特徴的な形をしています。
郡山ではカスミザクラほど目立ちませんが、里山として残されている雑木林でしばしば出会うことが出来ます。具体的な場所としては、郡山自然の家の自然観察林や逢瀬公園などです。4月下旬に当該地を散策して探してみてください。もし、満開のウワミズザクラに出会えたなら、多分何か得した気分になることでしょう。
さて、ウワミズザクラの名の語源ですが、古より国家の大事を決めるにあたり 「雄鹿の肩骨の裏に丁字形の溝を彫り、その骨を渡波迦木の火焔にかざして生じた割目を見て占う」方法が取られました。この時、骨に刻まれた溝は「裏溝」または「下溝」と呼ばれたので、これを焼く木、すなわち「ハハカ」をウラミゾまたはウラミゾザクラと名付けたとのことです。現在はウワミズザクラに変化し、漢字では
上溝桜と書かれていますが、本来は「古満桜」あるいは「裏溝桜」と表記すべきとの意見もあります。
ウワミズザクラは日本各地に分布していますから方言名も多く、『樹木大図説・上原敬二苦」には80近い名が掲載されています。 福島県内では「コンゴウザクラ」 「イヌザクラ」 「アンニンゴ」 などと呼ばれています。 「コンゴウザクラ」は金剛桜で、材が堅いことによるようです。なお、会津独特の呼び方で「ナタヅカ」がありますが、やはり鉈の柄に適した強度を持つことから名付けられたのでしょう。
「イヌザクラ」は(似ているけれど異なる=イヌ) 桜ですが、和名の「イヌザクラ」は別に存在しています。会津地方では「ウワミズザクラ」の若い花穂と未熟の実を塩漬にしたものを「杏仁子」と言い樹本名も「アンニンゴ」と呼んでいます。 しかし「ウワミズザクラ」で最も人気があるのは、なんと言っても黒く熟した実で造られた果実酒でしょう。筆者は随分とお目にかかっていませんが・・・。


