シナノキ (アカシナ)

シナノキ (アカシナ)
シナノキ (東北地方名:マダ・マアダモウダ等、漢字表記:科の木、級の木、桶の木)は日本固有の落葉高木で、全国各地に分布しています。 郡山周辺の山地においてもしばしば出会うことがあります。 特に、猪苗代湖畔の横沢浜や館浜の湖畔林では、比較的容易に見つけることが出来ます。なお、郡山の市街地では「こおりやま文学の森資料館の庭園」と「如宝寺の境内」にそれぞれ1本植えられています。
葉の形はややゆがんだハート型で、大きさは4~9cm程度です。 花白〜淡黄色で6~7月に房状に咲きますが、花序の基部に靴べらのような総苞葉が付いたユニークな形をしています。10~11月に結実しますが、 総苞葉が翼となってゆっくりと回転しながら、 まるでヘリコプターに吊り下げられたように遠方まで運ばれます。
シナノキの語源については、アイヌ語の「シナシナ:結ぶ」と 「樹皮がしなやか」 等の説がありますが、いずれも樹皮の内皮から取った繊維が強靱であることによるのではないでしょうか。 かつて、シナノキから取った繊維は布や縄の材料として大いに用いられたそうです。
シナノキの繊維で織られた布は 「しな布、まだ布、まんだ布」と呼ばれていましたが、ゴワゴワして肌触りが悪く、江戸時代に綿(ワタ)の栽培が普及すると肌触りの良い綿布が一般に使われるようになり、しな布の利用はほとんど無くなりました。しかし、 しな布の技術は 「羽越しな布」として国の伝統工芸品に指定され、現在も継承されています。
シナノキの仲間(アオイ科シナノキ属)はヨーロッパからアジア、アメリカ大陸にかけての冷温帯に広く分布しています。 東北地方で良く見られるものに、シナノキより葉の大きいオオバボダイジュ (別名:アオシナ、漢字表記: 大葉菩提樹)があります。
皆様よくご存知のシューベルトの歌曲 「Der Lindenbaum (菩提樹)」 ですが、リンデンバウムの和名は「セイヨウシナノキ」で、オオバボダイジュによく似た樹です。