ニセアカシア(ハリエンジュ)

5月中旬ともなると、郡山周辺でも「ニセアカシア、別名ハリエンジュ(エンジュによく似ており棟がある)」の白い花を良く目にするようになります。この樹はマメ科の落葉広葉樹、原産地は北米東部で、現地名は「ブラック·ローカスト」と言います。この樹が初めて欧州に持ち込まれたのは1601年で、フランスの宮廷庭師ジャン·ロビン(Jean Robin)氏がアメリカより種を取り寄せ増殖しました。
彼はこの樹の名を、ラテン語で「pseudo-acacia (偽のアカシア)」と紹介しました。その後、分類学の父リンネ氏がこの樹の学名を付ける際、ロビン氏の功績を称え(Robinia pseudo-acacia L.)としました。因みに、フランスではこの樹の名を「ロビニア」と言うそうです。
「アカシア」は世界中に1,350種ほどある総称で、その多くは黄色い小さな花が集まった球形の花を多数咲かせ、葉はネムノキの葉の形をしています。一方「ブラック·ローカスト」は白い藤に似た
花を付け、葉は3~9対の小葉が集まった形状ですから、この樹を「アカシア」と見紛うことは私としては考えられません。
「ブラックローカスト」が日本に渡来したのは江戸末期と考えられていますが、樹木名は単に「アカシア」と呼ばれ全国に広まりました。梅雨時の白い花は魅力的で、 このアカシアを題材とした歌も数
多く作曲されました。例えば、北原白秋の「この道」、石原裕次郎の 「赤いハンカチ」、西田佐知子の「アカシアの雨が止む時」等々数多く有ります。しかし、これらの「アカシア」は全て現在の「ニセア
カシア」に該当します。 その後、本来の「アカシア」の仲間(例えば「フサアカシア」「ギンヨウアカシア」等)が数多く輸入されたことにより、学名を安易に直訳した「ニセアカシア」が和名となりました。
「ニセ」には偽札、偽学生、偽警官等犯罪の臭いがしますし、価値の低いものとの観があります。例えば、アカシアの蜂蜜は実際はニセアカシアの蜂蜜ですが、ニセの語感が嫌われて「ニセ」
を消去しています。「ブラック·ローカスト」は個性豊かな樹であり、決して偽物ではありません。私見ですが、せめて「シロバナアカシア」くらいにして頂きたかったと思う次第です。


